14.3.31
ソーハラの恐怖
*情報は2014年3月当時のものであり、現状と乖離している部分がございます。
先週末、実に8年振りに高校の部活仲間と再会し、終電まで近況を語り合った。
クラスの同窓会は年1〜2度の割合で開催されており、ちょくちょく顔を出しているが、
部活の同窓会は、なかなかスケジュールの折り合いが付かず、私にとってこれが初めてだった。
やはり、全員が社会で広く活躍する存在になっていた。
一部は国際的に活躍するレベルの仕事に就いていた。
こう書き始めた理由はもうお分かりの通りだと思うが、
2014年3月を以って、私は新卒入社した会社をジャスト2年で退職し、
4月から転職することにした。
*追記:この転職先も2017年3月で退職。詳細は「ブラック企業物語2」へ。
有休消化もあり、半月程ニートライフを送っていた。
実はそれでも有休6日は消化できず、退職金算入も出来ない崖っぷち経営状況であり、
泣き寝入りしかないのが実情だった。
そこで、辞めた会社にまつわるFacebookのいいねやTwitterのフォローも全て外した。
暫く思い出したくないってのもあるけど、気持ちの切り替えの為だ。
何故こんな事を?と思うだろうが、所謂「ソーハラ」が会社で起こり始めたからだった。
元々、パワハラもセクハラも横行してるような職場だったけど、
ここまで来るとねぇ…という感じだった。
直接的な退職理由ではないんだけど。
ソーハラとは、ソーシャル・ハラスメントの略で、「SNSに関連したハラスメント」を総称する。
拙作Hyperlinkで「繋がる事の便利さとリスク」を訴えたというのはここで散々書いていることだが、
簡単に言えば、「いいね強要」「上司が部下のFacebook・Twitter・LINEアカウントに介入する」等の行為である。
公私を分けるのは必要であり、「プライバシーの権利」は日本国憲法でも保障されていると中3公民で習ったはずだ。
しかし、この会社では前者が発生した。
日テレの某朝ニュース番組で、2013年4月2日に会社が大々的に報道された事に味を占めたのか、
会社は「話題性価値」と称し、メディア露出に躍起になり、傍から見れば「図に乗って」いった。
社内で大喧嘩した事もあり、私は「価値」というような曖昧な言葉が大嫌いだった。
私も2014年2月号のFUNRIDEに載ったり、Webのニュースサイトに載ったりした事もあった。
そして、2014年に入ると、今度はSNSを使った情報戦略強化に注力するという上部方針が固まり、
広報2人に対して3つのFacebookページ運営を任せることになった。
情報は鮮度が大事であるのは確かだ。
このページのように、私の気まぐれで不定期に更新するような状況では商業ツールとしては使えない。
しかし、会社は何を思ったのか「毎日更新する事が大事だ」と言い出し、広報2人にFacebookのデイリーアップデートを義務付けた。
ちなみに、土日も予約投稿という形で毎日、である。その為、金曜日は広報の負担が甚大になる。
広報さんは基本的に、問い合わせへの返答やイベント出展の準備、取材対応といった事が本来の業務である。
しかし、このFacebookの件でキャパオーバーもいい所な状況になった。
広報さんの片方は配属8ヶ月の新人OLさんなのに、Facebook更新だけの為に年明け以降毎日21:00まで残業させられており、非常に不憫に見えた。
まだ若いのに、睡眠不足だとふとしたタイミングで私に零されたこともあった。
話が逸れたが、それに付け加えて全体朝礼の際に
「何故自社製品のFacebookを見ないんだ、いいねを押さないんだ」
「社員の中でも〜さんのアカウントには面白い内容が投稿されている」
というコメントが社長から出てくる始末。ある意味、暇人を羨ましくも思える。
命令形になっていないが、これは間接的な「いいね強要」であり、
「ソーシャルハラスメント」が成立している。
「いいねが〜件を超えました!!」と喜ぶ記事も有ったが、これは社員による「水増し」に過ぎない。
批判的に言えば、「超えた」のではなく「肥えた」だけなのだ。
事実、Facebookでは「いいね」を押した人の名前が表示されるわけだが、9割は社員だった。
何しろ、これまでアカウントを持ったことのない、
社長側近がこぞってローマ字で画像なしのアカウントを作らされたくらいだから。
それに、イベント会場でも催し物をする際、参加条件が「Facebookにいいねを押す事」と設定するのが慣例になり、
ガラケー勢を固辞する、私の様な「ラガード」(詳細は「ロジャーズの普及法則」を参照)は、アカウント自体を持っていない事も多く、
「おかしいだろ」「ふざけんなよ」と詰め寄られた事も何度かあり、只管謝罪するしかなかった。
何より、スマホでFacebookってどうやるんですか?と聞かれまくったのがきつかった。ガラケーかしか触ったことのない人間には分からん。
私には、「いいね!」を貰う事だけに
そこまで躍起になる事に意義を見出せない。
他にも、冒頭に書いた同窓会の件でも、「お店のLINEアカウントに友だち登録したら300円引き」「系列店で数競ってるんでオナシャス」と
明らかに大学生と分かる金髪男子にチャラく言われた。こう書いているが、頑張って営業活動している姿勢は評価するよ。
結局、私はその場しのぎで友だち登録だけして、帰宅したら即リムった(Remove=フォロー/友だちを外す事、
「つぶやき魔法少女
シャープネル SDVX」あたりで検索すれば分かる)。
イベント会場でのいいね強要も、その場しのぎで、
その後目だけ通し、即いいね取消である。
*稀に内容が優れたページに出くわした場合は、そのまま残すスタンスだが、未だそういうページに出会ったことはない。
自分のタイムラインにどうでもいい事を羅列されて気持ちのいい人はまずいない。
実際、20件以上のリプライ連投でTLを荒らされて不快な思いをしたので、スーモのアカウントフォローを外した事がある。
*だけど、次に引っ越す賃貸住宅はスーモ経由だぜ(笑) キャラクター自体は悪く思ってない。
ここで私は思った。「いいね!」とは何なのか?
Facebookの一つのステータスとも言える「いいね!」数。
30を超えたらどうのこうの、100を超えたらどうのこうの、と制約撤廃や定式がそこには存在する。
さて、根本を問いただしてみる。そもそも、映画で有名になったように、Facebookというのは、
マーク・ザッカーバーグという若者が立ち上げた、小さなネットコミュニティが全ての起源であり、
私がアメリカやフィンランド留学をしていた2009年頃には、英語圏で爆発的に普及しており、
「おい、お前も始めてみろよ」と方々から勧められたが、
当時の日本では「mixi」や「前略プロフィール」が全盛だった以上、
私には「何じゃそりゃ」な認識であった。国際的に見れば後発国なのだ。
事実、海外ではSNSに対し、疲れや飽きが出て、
原点回帰としてコーポレートサイトの充実化を図る企業も増えていると聞く。
つまり「いいね!」は翻訳されたもの、という事になる。
では、原文の「いいね!」は何なのか?実に単純である。
「Like!」なのだ。
非常に曖昧な日本語である「いい」。
イントネーションや状況によって、許可=Sure、評価=Good、不要⇒No
Thank
you等、多様な意味を持っている。
一方、「Like」というverb(動詞)。
これは主に「好き」(+「〜の様な」)という意味で使われる事は、
英語の初歩(今の教育指導要領では小学校に落ちてるのかもしれない)で習っている筈だ。
Facebookの「いいね!」は「Good」のニュアンスで翻訳されたものと推測される。
しかし、日本での実態は先述した様に「社交辞令」の色が強い。
言ってしまえばLINEの「既読」と同レベルだ。
得意先が記事を投稿したら、内容如何に関わらず「いいね!」を押しているのだ。
もっと酷ければ、異性用下着の製品紹介の記事にいいね!押しているような事もあるわけだ。
(そりゃ本人がそういう趣向なら頷けるが、基本的にありえない)
それ故に、私はこの「いいね!」というボタンは「心から協賛・賛同できる製品、催し」
「内容に感銘を受けた」という場合にしか押さないことにしている。いい≒Likeだと思っているから。
「ああ、これいいよね」というのと「ああ、これ好きだよ」と言うのとでは、含んでいる気持ちが違うのは明らかだ。
それ故、こうした社交辞令的な「いいね!」推しに対し、よく思っていないのだ。
それなら、LINEと同じ様に「既読」ボタンにしてしまえばよいではないか。
数と実態の乖離程度で自社のFacebookアカウントの良し悪しは自ずと分かってくるだろうし。
と、散々Facebookの悪口を書いたわけだが、
コミュニケーションツールとしての影響力を考えると、やはり利用に値するツールだ。
しかし、Facebookというのは「実名制」が原則であり、そもそもそういう理念で設立されたものだ。
故に、注意深い国民性を持つ日本人の間では、敷居が高くなって、普及が遅れたのではないかとも思える。
しかし、ネット社会で本名を晒すというのは如何に危険かお分かりの通りだと思う。
さて、それでもFacebookを使いたいと言う人はどうすればいいのか?
詳細は以下のサイトを参考にしてもらいたい。
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1203/23/news101.html
Facebookには、個人用アカウントと「Facebookページ」が存在する。
後者の場合、〜社や特定の製品名等、人物名を入れなくても開設でき、
後者を管理するのが個人用アカウントである。
*いずれにせよ、個人用アカウントを持つ必要がある。個人アカウントを取れば、ページは誰でも開設可能。
個人用アカウントを取る為には氏名を入れなければならないのだが、
別にFacebook側が自治体やプロバイダとつるんで、
10億人近いユーザーの戸籍謄本や住民票を逐一確認しているかと言うと、そんな事は一切ない。
言い換えてしまえば、偽名で登録する事だって余裕で出来る。
政治家のポスターみたいに全部平仮名で登録している人もいる。
同姓同名である程度までなら特定を回避できる事になる。
アナグラムなりなんなりでそれっぽい名前で伏せる事だって出来る。
要は、それっぽい名前で本名伏せて個人アカウントを取っておき、プライバシー情報は一切非公開、入力しない、という事にしておけば、
特定を回避する事もできるし、「友だちかも?」で会社の上司が表示される/上司側のアカウントに「友だちかも?」と表示されるような事もない。
更に、私の様に同人活動をしている人間は、ハンドルネームやペンネームで活動している事が大半なので、
創作活動に関わる投稿とプライベートにまつわる投稿を分けたいと言う人が多いだろう。
その際に、先述したFacebookページを使えばよい。
その際は「個人のブログ」等、適当なカテゴリを選んでおくべし。